私にはまだ早すぎたのかもしれない…
私の初の宝塚体験、『幕末太陽傳』が始まりました。
こちらの演目、宝塚歌劇団の公演解説によると…
ミュージカル・コメディ
『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)』
~原作 映画「幕末太陽傳」(c)日活株式会社 監督/川島 雄三 脚本/田中 啓一、川島 雄三、今村 昌平~
脚本・演出/小柳 奈穂子1957年に封切られた、鬼才・川島雄三監督の代表作である映画「幕末太陽傳」。「居残り佐平次」を中心に、「品川心中」、「三枚起請」、「お見立て」他の古典落語を組み合わせ、実在した品川の遊廓・相模屋を舞台に起こる様々な人間模様を軽妙なタッチで描いた、日本映画史に燦然と輝く名作です。 幕末の品川宿。一文無しのまま相模屋を訪れ、女郎おそめを揚げて大尽遊びに興じた佐平次は、翌朝飄々と居残りを決め込んでしまう。そして番頭まがいの仕事を始め、次々と起きる騒ぎを持前の度胸と機転で解決しては、お礼の金をちゃっかり貯めこんでいた。相模屋で攘夷の計画を練る高杉晋作らとも交友を深め、いつしか佐平次は、廓の人気者となるのだが…。生への活力が漲る中に憂いを漂わせる人情喜劇に、早霧せいなを中心とした雪組が挑みます。
とのこと。
幕が開き観はじめるんですが、最初のうちはやはり違和感があるわけです。
佐平次も高杉晋作もこのステージの上にいる男の人はみんな女の人なんだよな、と冷静に考えてしまうわけです。
そんな余計なこと考えないほうがいいと思うんですけどね(笑)
つい考えちゃう。
女が男を演じてるんだよな、女が演じている男なんだよな、と。
でも時が経つにつれてそんな気持ちにも変化が。。。
不思議と男とか女とか、そういうのが全く気にならなくなるんですよ、これが。
男役の人が、男に見えてくる。
男が女であるという非日常が、日常に近付いてくるんです。
完全にとまでは言えないですが、最初に感じた違和感だいぶなくなりました。
それでですよ。来たんですよ、やっぱり。
え、何が?
人が!
だから、どこに?
オーケストラピットの前にある通路に!!!
今でこそ【銀橋】あってこその宝塚だってわかるんですけど、なんせ初めて観るものだから、こんなところまで出てきて~もう! サービスいいっすね!!と。
「ちかっ!」「すんごいちかっ!」ってテンションあがりましたよね、当然。
あの宝塚の「キュッ! カッ!」としたメイク(表現が抽象的すぎるが…)がよ~く見えるんです。
上手なので、みなさん下手の方を向くことが多く、だいたい左斜め後ろからの角度で眺めることが多かったですけどね。。。
そんなふうにいろいろ思いながら観ていたんですが、中盤くらいまで心にひっかかっていたことがあります。
娘役トップの咲妃みゆさんがどの方なのか全然わからない…
一応予習はしているんです。
男役トップの早霧せいなさんは主役だし、いちばんよくしゃべっているからこの人だな、ってのがすぐにわかった。
咲妃みゆさんにしたってきちんとお写真見たんですよ!! 見たはずなんです。
唯一の手落ちは役名を覚えていなかったこと。
「おそめ」って頭の中にあれば初めから、あの方が咲妃みゆさんだなと認識できたはずなのに。
途中から「ああ、これか、このかわいい女子が咲妃みゆさんね、うすうすそう感じていたけどやっぱりそうなのね」と気づき、ようやくスタートラインに立てたわけです(笑)
そんなことをやらかしたくせにですね、くせにですよ。
私はこの公演を観て咲妃みゆさんの可愛さにやられてしまったわけです。
い・ま・さ・ら。
もう宝塚を退団してしまうというのにっ!
これが宝塚での最初で最後のお姿になるなんて悲しすぎる…
なんというタイミングの悪さっ!!
でもそういうことってけっこうありがちですよね。気づいたときには遅いっていうの。そしてそういうものって、すごく心に残るんですよね。
『幕末太陽傳』を観て、すっかり咲妃みゆさんを好きになった私がいました。
※『幕末太陽傳』の内容や感想については記憶があいまいなため割愛させていただきます…笑
30分の幕間休憩を挟みます。
私はこのときまであまりきちんと把握していなかったのですが、宝塚は基本的に最初に芝居、休憩をはさんでレビューという2幕構成になっているようです。
先日見た『ポーの一族』はちょっと違いましたが。
基本的にはこのパターンってことなんですかね…
またまた宝塚歌劇団の解説から…
Show Spirit
『Dramatic “S”!』
作・演出/中村 一徳“S”をキーワードに繰り広げる「Song&dancing Show」。ショースター(Show Star)として輝き(Splendor)を放つ早霧せいな(Seina Sagiri)率いる雪組(Snow troupe)の魅力を、最大限詰め込んだショーシーン(Show Scene)の数々をお届け致します。 また、宝塚大劇場公演は第103期初舞台生のお披露目公演となります。
私はこのステージを観てようやく納得したんです。
ああ、私がイメージしていた宝塚はこれだったんだな!と。
大階段があってそこをみなさんが降りてくる。
下を見ないで降りる、というあの噂の大階段。
そしてキラキラと華やかなステージ。
男役さんたちのきれいに揃ったダンス(男役群舞というらしい…)
ここで私は疑問に思います。
これ全部女ってウソだろ?と。
男役のみなさんのたたずまいが本当の男以上に男らしくて、ほれぼれするぐらいカッコよくて、とてもじゃないけどこれが全部女子ってことが非常に信じがたい光景でありました。なんか騙されているような感じ。
数時間前は女が男を演じていることに違和感を覚えていたくせに、手のひらを返したようなこの変わりよう(笑)
ああ、私もこんなにカッコいい人間に生まれたい人生だった…
だがしかし、やがて私は見失います。
何を?
早霧せいなさんを!
最初にいかにもトップ!という感じで早霧せいなさんが出てきてセンターで踊っていた(気がする)ので、そのときは大丈夫だったんです。
でも次々に他の男役の方々で出てくると、みなさん髪型がオールバックでしかも茶髪やら金髪なものだから、
区別がつかない。
こうなるとさきほどは早霧せいなさんだと思った方も、もしかしたら別の方なのかもしれないと不安になる…
ここで私は早霧せいなさん探しに取りかかります。
あれか? いや違うな、もうちょっと細かったような気がする、あでも髪型はこんなんじゃなかったっけ? やっぱり最初のあの方が早霧せいなさんだと思うけど、いや、あれ? そうだと思った人はこの人かもしれない、てことはこっちの方かも、違うかしら、んもう、どこだっ!
と。
結局のところ、咲妃みゆさんとちょいちょい一緒に踊っていたのが早霧せいなさんだな、と断定しました(そりゃそうだろうね)。
もはや咲妃みゆさん頼み(笑)
レビューも佳境になると、私のすぐ右側にある花道にずらっと演者さん(生徒さんと言うべきか、スターさんと言うべきか?)が並ぶんです。
そしてこともあろうに、満面のキラッキラした笑みで私を(別に私だけではない)を見て、きれいに揃ったすばらしいダンスを見せつけてくるのです!!
おぅ、まぶしすぎる…
圧がすごい…
なんだか右ほほを見えない手でさわさわと撫でられているような、こそばゆい感じ。
(おばちゃんのくせに)コミュ障で恥ずかしがり屋の私はこの攻撃にだいぶ戸惑い、慌てます。
ど、どうしよう…
- いったどうしたらよいの?
- どんな顔をして観たらよいの?
- そもそもガン見してもよいの?
心の中で問いかけますが答えなど出るはずもなく、私は手拍子をしながら基本的には銀橋の方々を観るというスタンスを取り、時おり花道の彼女たちをチラ見しては約1秒の間隔で順に視線を合わせていき、ふふっっと(気持ちの悪い)笑みを浮かべるという手段に出ました。
もう、こうするより他はなかったのだ。
幕が開ける前は花道が近くて喜んでいたのに、こんな事態になるとは。。。
いやいや、誤解をなさらず。
決してこのポジションが嫌なわけではないのです。
そんなことは微塵も思いません。
むしろありがたいことです。こんな間近に観られるのですから。
ただ、早すぎた。
私には早すぎたんだよ。
この位置は…
そしてついにあの瞬間を迎えるのです。
背中に背負った羽根!
あの大きな羽根!!
これこそザ・宝塚である。
ふぁっさぁ~、という音が今にも聞こえてきそう。
あれを背負って大階段を降りてくる姿。
なんだか知らないけれど、
いやっほー!
と叫びたいくらいには私のテンションは静かに最高潮になっていました。
あの背負い羽根、相当重いらしいですね。
にもかかわらず、そんなことを微塵も感じさせないで颯爽と歩いている早霧せいなさん、すごいなと思いました。あんなに細いのに。
私なら腰をやられる。秒でやられる。
そんなこんなで、私の初宝塚が終わりました。(記事も唐突に終わる)
「宝塚って、意外と面白いよね」
本当はかなり面白かったしまた観れるなら観たいと思ったのに、なぜか母にはクールな口調でそう述べている自分がいました(笑)
素直じゃないよな、私。