『Ernest in Love』~ふいに芹香斗亜さん演じるアルジャノンに出会ってしまった話。
以下、感想というよりはあとで自分で読み返してニヤニヤと思い出に浸るための雑文となります。
いまスカパー!お試しでスカイステージを見ています。おそらくこのまま加入するであろうな。
先日そのスカステで『Ernest in Love』(2016年花組・梅田芸術劇場)を放送していたので録画しておきました。番組表に芹香斗亜って書いてあったから!
(アルジャノン:芹香斗亜、セシリイ:城妃美伶 ver.)
軽い気持ちで見始めたんですよ。何の予備知識も持たず。
それはあまりにもうかつな行為であった。
『ハンナのお花屋さん』も、あの(どの?)『邪馬台国の風』も【芹香斗亜の魅力】に一発KOされてサンドバック状態にならぬよう、容易に忘我の境に入ってしまわぬよう、心にそれなりの【鎧】というとそれは過言だけれど、南極越冬隊並みの防寒具くらいは装備しておいたのです。いや、ここは寒さに備えてもしかたがない。
それなのに、今回私はうっかり【Tシャツに短パンでコンビニ】というラフな心構えでのぞんでしまったのです。それが敗因でした。
◎登場シーン
芹香さん演じるアルジャノン・モンクリーフが登場します。ロンドン生まれロンドン育ちの貴族だそうです。
貴族? 貴族といえば『ハンナのお花屋さん』のアベルであります!!
あれはスウェーデンの貴族でしたが、実に端正でノーブルであったよなぁ。登場するたびに「はっ」とか「ひっ」とのけぞるくらい、格別にイケメンでありました。
ということは?
今回も貴族ということだから、またあんな感じの芹香斗亜氏が見られるのかな?と私はかなり期待を寄せておりました。
しかし…。
ん? 颯爽と、ではなく、ポヨポヨとした足取りで登場したのは、どうやら「寝起き」らしい男であった。まさかこれがあのアベルに次ぐ貴族だと言うのか???
全然シャキシャキしてないし、人目を気にせずデカイをあくびをかますし、髪の毛がすんごく立ち上がっているし。え、それ寝癖です? 失礼ですけどそんな寝癖あります? 初めて見ましたよ私。どこのパンクロッカーかと思いましたよ、ええ。でもパンクといえば私の中ではピストルズですし、この舞台の設定もロンドンですし、まぁいいのかなという感じはしますけど。まぁ何かいいのかわからないですけど。
とにかく、この男、お世辞にも【かっけぇええええ】とはなりません。
いや、まあ寝起きだからこうなるのも無理はないのかな貴族だって眠いもんねぇ、と思おうとした矢先、眠いからもう少し寝ると言って引き返そうとする彼は、こともあろうに前屈みで背中をポリポリとさすりながら(かきながら?)歩いているではありませんかっ!
もっさいな。
もっさすぎるな!
おかしい。おかしいおかしい。
この男からはノーブル臭がかけらも漂ってこない。ロンドン生まれロンドン育ちのスマートな貴族じゃないのですか?
私はアベルみたいな貴族を期待していたのです。その姿を見て「はああああ、やっぱかっけぇええ」と叫ぶ準備はできていたのです。それなのに、いきなりけつまずいた。同じ貴族なのになんでこんなにも違うんでしょうか?
もしかしてかっけえ芹香斗亜氏は見れないの………??
と嘆きつつ言わせてもらう。
当然のことながら私の心はかっつりと掴まれているのです。
颯爽とカッコよい男前貴族が出てくると思いきや、180度真逆の冴えない感じのふにゃ男が現れた。ははーん。これは頼りないおぼっちゃんキャラってことだね、そう来たかー。ふむふむ。
私はにわかなので、これまでにきちんと芹香さんの男役を見たのはラムセス、アベル、クコチヒコのみだから、今までにないパターンである。こういうキャラに初めて遭遇した私は、ギャップ萌えとまではいかないけれど、当然のことながらそれなりのジャブをくらった。
こういうの、、、、、良いよねぇ。
だらしなく冴えない感じ。そしてちょいブサなマヌケ面。
すごく良いであるな。
というか、結局のところ何でもいいんですよね、私は。
芹香斗亜さんが舞台上で輝いていれば、それでいいんですよ。
…とこんなふうにまとめてしまうとこれを書いている意味が全くなくなってしまう。
◎キュウリサンドのくだり
しかしながら、予想に反して次の登場は颯爽としていた。
これこれ、これである。私が待っていた芹香斗亜氏はこれなのだ。
あのまま冴えない感じでいくわけではないらしい。
袖口や襟元など服装をちょこちょこ気にしながら、「レイン! レイン!」と呼ぶ姿が実にスマートでそのイケメン具合に安堵する。これこそが【かっけえ芹香斗亜】だ。
よっしゃあ!!!!
と思ったのも束の間、「キュウリサンド」がご登場なさった途端、風向きが変わる。
さっそくキュウリサンドをほおばるアルジャノン。
ま・さ・か!
まさかアルジャノンのもぐもぐタイムが見られるなんて!! しかも至福の表情。
いいんですか? こんなの見せてもらっていいのですか?
そんな顔を見せてくれるなら、キュウリサンドどんどん食べてくださいよ。今すぐ家庭菜園でキュウリを育てて絶え間なく供給するから、ずっと「んんんんんーうんまいっ」って言って食べ続けてほしいよ私は。
好きな人がおいしそうに何かを食べている姿って、どうしてこんなにもニヤニヤしちゃうんだろうなぁ。不思議だなぁ。ずっと見ていられる。
芹香斗亜さんがおいしいものをひたすら食べて「おいしい!」ととろけそうな顔でおっしゃっているだけのブルーレイはどこにいけば買えますか?
いくら金を積めば買えますか?(お下品)
続いてキュウリサンドに興味を示した明日海アーネストとアルジャノンのやりとり。
アーネストが皿を手にした途端アルジャノンが「あっ、ちょちょちょちょちょ、な~にしてんの」と皿を取り返そうとする。
アーネスト「食べたいなと思って…」
アルジャノン「だめ!」
アーネスト「はぁ…」
アルジャノン「だめよぉお」
アーネストの「食べたいなと思って…」とアルジャノンの「だめよぉお」の言い方には悶絶するしかなかった。
ここだけ20回くらい見ていた気がする。バカみたいに気に入りすぎた。
気づけば私はぽけぇっとしたアホ面で何度も早戻しをしてニヤニヤしていた。
直後の「おばさまは僕のおばさまさ。もうすぐここへやってくる」と言ってソファに右手をポンと投げ出した時のアルジャノンの筆舌に尽くしがたい表情。
これがツボ。すごくツボ。なんでかわからないけどすごくツボ。
文字だと全く説明できないけど、しいて音をつけるなら「ふんふふ~ん♪ ふんふ~ん♪♪」ていう感じの表情。あぁ、この説明で余計にわかりづらくなっている。
とにかくこの顔がなぜか好きなんだ!!
「食べつつ言わせてもらう」
このセリフを合図にアルジーの私に対する猛攻が始まります。
キュウリサンドを食べるアルジャノン。
アーネスト「で?」
もぐもぐし続けるアルジャノン。じつによく味わっている。
アーネスト「で? 続き」
アルジャノン「あ、そっか。ごめんごめん。おいしかったからさ、今日のキュウリサンド。久しぶりに食べたんだよね、キュウリサンド」
アーネスト「あ、そうかぁ」
キュウリサンドをのぞき込むアーネスト。
アルジャノン「だめだよ。最後のひとつは大事なんだから」
ここは毎回アドリブだそうですね。
め・ちゃ・く・ちゃ・に!
かわいすぎるだろう。
これは私をこてんぱんに潰しにかかってきていると受け取ってよろしいか?
「最後のひとつは大事なんだから」の言い方は、きっと芹香さん本人の言い方に近いんだろうなぁ。普段の話し方をあまり知らないからわからないんだけど。桁外れにかわいい。
私はもはや、完全に明日海アーネストになりきって、この芹香アルジャノンとのやり取りをテレビの前で妄想しましたよね。
一応恥じらいはあるので声には出さず、あくまでも心のなかで「そうか、久しぶりじゃさぞかし美味しかろう」とか「そうだよね、だめだよね最後のいっこだし。わかったよ食べなさい」とかやってました。
本当にね、気持ち悪いんですよ、私という人間は。
ここでアルジーの攻撃が終わるかと思いきやまだ続くのだった。
もう後生だからやめてくれ。後生だから…
アーネストのシガレットケースにある「セシリイより愛をこめて」という言葉を女の子口調でおちょくりながら言い、ケースを取り返そうとしたアーネストをキレのあるターンでサラリとかわし、手を伸ばしてアーネストからケースを遠ざけつつニヤニヤしながらくるくると回り、背後から「返せ!」と抱きついてきたアーネストからこれまたケースを遠ざけるために両手を前方にスパッと伸ばして顔をしかめ、最後にしゃがみこんで「小さなセシリイより愛をこめて」と言いながら目をパチクリさせて見上げる。
こ、こ、こ、こ、こんなに連続技を繰り出してくる斗亜!!
やられてるアーネストからしたら本当に憎たらしい表情でしかないんだけど、私はアーネストじゃないから萌え死ぬしかない。
もうワシを殺す気なんだな??? そういうことなんだな?
その狙い通り、私はすでに息も絶え絶えの瀕死状態である。
にもかかわらず、アルジーは攻撃の手を緩めない。容赦がない。実に鬼である。
「お願いだからもう止めてくれ」と好き止めの地団駄を踏みつつ言わせてもらう。
「いいぞもっとやれ!」
セシリイに興味を示したアルジーにアーネストが「セシリイはとってもかわいらしくて、まだ18歳なんだ」とけん制した際、まだ見ぬセシリイを妄想して「ふわぁっ」と声を漏らすしまりのないアルジーの顔、からのアーネストに顎をがっつりわしづかみされているアルジーの間抜け面、からのそれを「くぁあ」と嫌がるしょっぱいアルジーの表情。
この作品、全体的にアルジーの顔芸が秀逸すぎませんか??
コロコロとめまぐるしく変わる芹香アルジーの表情を見ているだけで、幸福のシャワーをめいいっぱい浴びているような気分になれる。
海の幸山の幸ならぬ、キキの幸であるな。
ふと思ったのだけど、あの芹香さんの顎の先もポコッとした部分には何がおさめられているんだろうか?
きっと【もふもふとしていてやらかくて丸いくてまっ白いもの】が入ってるんだろうなぁ。
もはや「こしあんの大福」しか浮かんでこないけどな。私の想像力のなさな。食いしん坊な。夢もへったくれもないよな。
私もあの顎をわしづかみしたいなぁ。すこぶる触り心地よさそうだよなぁ、あれ。
とか考えているから、私という人間はもう、本当に気持ち悪い。
◎セシリイを訪ねてきたところ
アーネストのふりをしてセシリイを訪ねてきちゃいましたアルジャノン。
アーネストがどんな人が想像して踊り歌っているセシリイの前に登場するのに、彼女に全然気づいてもらえず、振り回されてヘロヘロになるところ。
ここは最初から最後までアルジーの【必殺表情コロコロ七変化】がさく裂していて、とてつもない至福のひとときを過ごせます。眼福にあずかりすぎている。見ていて自然と笑みがこぼれます。
特に階段で歌うセシリイに気づいてもらおうと、一度上手の方を指さしてそちらに走っていき両手を上げて振ったにもかかわらず、すぐに逆を向いてしまったセシリイに対して「ホワ~ィ? なぜえええ!?」って感じでのけぞるところが大好きで、このときアルジーはいったいどんな顔してるんだろうなぁ。
その後のセシリイがくるくる回っているところで、一瞬彼女に手を振るところも私のお気に入りである。
これ、いわゆるスターアングルっていうやつでずっと芹香アルジーの表情だけをカメラで追い回してほしい。いや、もうここだけに限らず、アルジーが舞台上にいる時のすべての表情を追ってほしい。
そしてその映像を撮る仕事をぜひにぜひに私にやらせていただきたい!
やらせてもらえるなら無給でいいし、なんなら逆にお金払ってもいい。
いくら積んだらやらせてもらえますか?
(なんだかすごく誤解を招く言い方になってしまったね…)
◎マフィンのくだり
アーネストとかけあいで歌うところ。
アルジーがマフィンをつまみ食いしている。食いながら歌っている。
のんきにのんきに、とんでもなくのんきな男だ。
だがしかし、こういう人っていいなぁと思う。たとえ怒ってても一緒にお茶したらそのペースに巻き込まれて「まぁいっか」てなりそうだし、細かいこととかどうでもよくなりそうだし、ほんとに憎めないキャラだ。
「う~まい。う~まい。う~まい」を3回繰り返してからの、アーネストに髪をくしゃくしゃされてる時の芹香アルジーの顔ときたらっ!
鼻筋にしわを寄せて目をつぶり、あたふたと右手をくるくる顔の前で回しているその姿!!
なんじゃこりゃあああ!!!
か、か、か、か、可愛すぎるぜえええ!!!!
可愛いが過ぎてるぜえええええええええ!!!!!
ハッ。い、いかん、取り乱した。すみません。
この数秒。
全編を通して、この数秒がベリーベリーウルトラスーパーハイパー超絶大好きであります!!!!!
…ちょっとおじいちゃんみたいな顔だけどな。
とかなんとかね。
強烈に好きなところだけを摘まんでつらつらと書いてきたけれど、もちろんここに書いてある場面以外にも好きなところはたくさんあって、でも、もう全部書ききれない。
全編を通してアルジーというキャラクターがとんでもなくいい味を出していて。
こんな作品だと全く思っていなかったから軽い気持ちで見始めて。
そしたら、とんでもなく深い【芹香アルジーという名の落とし穴】に簡単に頭から突っ込んでしまったよ。
私のなかでアベルをおさえて、現状、アルジャノンがトップになったかもしれぬ。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~。
これ、劇場で見たかったなぁ。
見た方々が本当に羨ましい。
心の底から咆哮するくらい羨まし過ぎるぜっ!!
私はすでに天河のラムセスで【芹香の落とし穴】にはハマっていたはずなのに、その落とし穴の底にはまた別の落とし穴が待ち構えていて、抜け出そうと2、3歩移動するとスポッとそこに落ちる。
これ、何回落ち続けるのかしら。
落ち続けていったら、最終的にどこまで行くんだろう?
それはね、怖い怖い底なし沼なんだよ。
そうだね、うすうす知ってた!!