宝塚と先輩(終)…にしたかったがどうやら③
また私の悪い癖が出てしまった。
ブログを書き始めると何個か続けて書くのに、ちょっとでも時を置いてしまうとすっかり熱が冷めてしまって放置する。
とはいえ、書き始めた先輩シリーズを終わらせておかなければならない(そんな義務はない)
当然のことながら弱小ブログのこの記事はまだ本人にバレていない。ここまで来たらもう言わないでおこう。(いいのかそれで? いいと思うよ)
先日、と言ってももう2か月ちかく前になるが、二人で日比谷シャンテのキャトルレーヴに行ってきた。
その日は平日だったが私は休みを取っていた。先輩は私用で遅刻するとのことで出社前にどこかで昼を食べてから行くことになった。会社には15時くらいまでに行けばいいと言う。
15時出社でいいのかっ!? 本当に??
同じ会社ながらそんなゆるい感じで大丈夫なのか?と心配になる。
宝塚が先輩をダメ人間にしていったらどうしよう…とふと心配になるが、それはそれで少し面白い、と一瞬思ってしまった私がいる。とんでもない悪魔的後輩である。ごめんなさい。
他部署の業務内容とか量とか詳細にはわからないので何とも言えないが、仕事はきちんとやる先輩がそう言うのだからきっと大丈夫なのだろう。そう信じることにした。
ちなみにうちの会社は東京宝塚劇場から歩いて15分ぐらい。ありがたい。
先輩はやはり舞台写真を買いたいようだった。それと『歌劇』の◯◯の△△が◇◇らしいから歌劇を買うのだと言っていた。SNSでいろいろ情報を入手して『歌劇』を買うと決めたらしい。私は久しく『歌劇』など買っていないし、情報を能動的に集めていないので先輩が何に沸いているのかさっぱりわからなかった。もはや先輩の方が私よりもたくさんの情報を得ているにちがいない。
キャトルレーヴで整理券をもらってから軽く昼食をとり、タリーズで時間を潰した。
その間、宝塚についていろいろ話す。
話の主な部分はやはりれいちゃんの話である。そりゃそうだ。好きな人について語れる相手(つまり私)ができたのだから饒舌になるし、話したくて話したくて仕方がないだろう。
しかしごめんなさい。私はあまりれいちゃんについて詳しくないのです。
キキちゃんとちなつさんが好きなので花組を見てはいたが、コンデュルメル夫人に興味はあるがコンデュルメルはあまり見ておらず、ちなつさんのジャッキーには興味があるがれいちゃんのジャッキーはあまり見ていない。ちなつさんの女役が好きすぎて例に出したのがコンデュルメル夫人とジャッキーになってしまったがそこにあまり意味はない。キキちゃんのダンスニーは覚えているけど、れいちゃんのダンスニーはあまり覚えていない。ラフィット・ロートシルトと言えばキキちゃんの顔が浮かぶし、あかねさす紫の花はAパターンをよく見るがBパターンはあまり見ていない。
れいちゃんに興味がない、というよりもキキちゃんとちなつさんに興味がありにありにあり過ぎるだけなのです。仕方のないことなのです。「比」の話である。許せ。
でもここは私の持つ心もとないれいちゃん知識でどうにかしなければ、と思ったが、こういう場合、好きな人の好きな部分について話したいだけなのでもっぱら私は聞き役に徹することで任務を全うすることができたのであった。
群舞の時のれいちゃんが…と言われたときは「すみません。いつもちなつさん見てたんでわからんのです」と正直お答えしておいた。
キャトルに行く時間が来て移動している途中、先輩が言った。
今まで寂しいもんだったよ。
好きなもんがほしかったよ。
好きなものを語り合えるって楽しいね!
これからもよろしくね!
え?
え、先輩。
今まで何かにハマったことなかったんすか???
いやいや、何かしらあるだろ。忘れているだけか?
と思ったが、いや、でも、そう人もいるのかもしれないと思い直す。
私は熱しやすく冷めやすいので、何かにハマるとスボボボボボボボボっとハマってしまう。まぁ長続きしないのだけど。
ジャニーズも好きな時期があったし、某バンドが好きな時期もあり、はたまた女性アイドルにハマったこともある。そして今は宝塚。
別にハマるのは人間とは限らない。不意にパソコンのキーボード沼に落ちて無駄に買いそろえたキーボードがたくさん転がっている。冷めてしまった今、正直、これらをどうしようかと困っている。3万とか1万とかするようなキーボードがいくつも保管されているが、今使っているのは1000円くらいで買った代物である。結局のところ、人生なんて、そんなものだ。ぷー。
ジャニーズやメジャーな女性アイドルあたりだと語れる人は確かにいるし、ハマっていない人とでも話はできる。深い話はできないけれど。
バンドだと、まぁそこそこ。同じバンドじゃなくても「音楽」というジャンルで話せることがある。
キーボードにハマった時はさすがに周囲に語り合える人はいなかった。未だに見つかってないが、気づいていないだけでキーボードの打鍵音が好きな人は絶対にいるはずだ(と思っている)。キーボード沼はそこがきっかけで落ちるのだ。あの音を手に入れたくてこのキーボードを買う。この音が欲しくてそっちのキーボードも欲しくなる…という話は今はどうでもいいな。
そして意外にも宝塚もいなかった。
ミュージカル好きや演劇好きはいるが、そういう人でも宝塚は見たことがなかったりする。私の周りはそうだった。
ヅカオタはいそうでいない。
いや、いないわけではない。ただ、表立っていないだけなのかもしれない。
なんとなく宝塚は特殊な存在だと思う。
メジャーなのになぜかマイナー感がある。
日本人なら大抵成長するどこかの過程で「宝塚」というものを知る。
私も小学校高学年ぐらいにその存在を知った気がする。テレビでやっていたのをちら見したように思うが記憶は定かではない。
へぇこういうものがあるのか。
そこで終わった。
実際に劇場で見たのは数年前だ。初めてテレビで見てからだいぶ経っている。
周囲でも実際に宝塚を見たことがあるという人は少ない。いや、いなかった。
そう、メジャーなはずなのに大抵の人が見たことがない。
歌舞伎などの伝統芸能と同じ。
なんとなく敷居が高い気がするから。
外部の人間が気軽に手出しできない何やら閉鎖的な世界のような気がするから。
きっかけがないから。
「宝塚、1度見てみたいんだよね」
これはよく聞くセリフです。
私も昔はこんなことを思っていたし言っていた。
きっかけがどこからかやってきてくれたら見てみたいけど、自分からは行動はしない。チケットってどうやって取るんだろうなぁと漠然と考える程度。
なぜなら言うほど本気じゃないから。本気で言ってないから。
昔推していた某アイドルが、気づいたら明日海りおさんにハマっていたことがあった。たぶん2014年か2015年のことだったと記憶している。
その時も「あぁ宝塚か…」
で終わってしまっていた。あの時「推しがハマっているのなら私も見てみようじゃないか!」と推しへの愛を最大限に膨らませてやる気を起こしていれば、みりおさんとキキちゃんとちなつさんとべーちゃんとゆきちゃんとじゅりあさんと…数え上げればきりがないけれど、めちゃめちゃ大好きだったみなさんが凝縮されていた花組を知ることができたのに!!!!!!とこれを書きながらものっすごい後悔にさいなまれ始めている。くそおおおおおぉぉぉぉおおおお、あの時の自分めえええええぇぇぇ!!!!! なぜ宝塚を見なかったのか????
我が推しに従順についていけばよかったのに。
あぁ、私はいったい何を書いていたのだったか?
宝塚はメジャーなはずなのにマイナー感が漂う特殊な世界のせいか、好きだけどなぜだか大っぴらに好きだといえない感じがする。
特に女性だと対象が同性なだけにいろいろと言えない人がいるのかもしれん。時代遅れの偏見がゆえに。宝塚にハマる=閉鎖的な上になにやらあやしいモノにハマっている感が醸し出される。…と書いている私ももしかしたら偏見にとらわれているのかもしれんなとふと思う。
私は基本的に綺麗で可愛い女性はたいてい好きなので、女だけど好きなので、宝塚が好きということはまぁまぁ周囲に言えている。かつて某アイドルグループを好きだった時代も周りは知っていた(というか自ら言っていた)ので、別に今さら同性にハマることを公言することに抵抗はない。といっても自らベラベラしゃべりはしない。聞かれたら答える程度である。誰にでも言うわけでもない。
しかしこんな私でもやはり「宝塚が好き」と言うときは少し緊張する。この人、どんなリアクションするんかなと。大抵の場合さほど気になるリアクションは取られない。(私が気づいてないだけかも…?)
私でもこんなだから、中にはあまり言いたくないヅカオタもいるのではないだろうか?
だからリアルな世界でヅカオタにはなかなか遭遇しない。といっても、私の交友関係が狭いことの方が大きな原因としてあるかもしれんが。
…いや待てよ、こっちの理由の方が大きいんじゃないのか? 単に知り合いが少ないせいでヅカオタに出会わない説。
(基本的に引きこもりコミュ障人見知り。だからこんなブログをちまちま書いているんだよ)
となるとここまで書いてきたこと、全部無駄? 徒労? 無駄な苦労? 必要なかった? 蛇足? ピガールのジャンヌの「それでいいのよ」というセリフ並みに蛇足? (わかった。しつこい)
とにかく先輩はあまり抵抗はないみたいで、けっこう社内では公言しているようだった。新しくできた部署に異動した先輩は自己紹介で「宝塚が好きです!」と言ったとかなんとか。ま、その影響で私もヅカオタであることが徐々に知られていっているわけであるが。エレベーターで乗り合わせた弊社の人に「〇〇さん宝塚好きなんですか?」と唐突に聞かれたこともある。いやいや、ビビるから。まぁいいけど。
先輩はれいちゃんという好きな人ができて、そのことについて話すことができるのがうれしいのだろう。よいと思うよ。謎の上目線。
いや、だから何の話をしていたんだ私は。
ああキャトルか。
そんなわけで先輩は歌劇と、厳選に厳選を重ねたうえで黒燕尾のれいちゃんの舞台写真を1枚買っていました。
たしかれいちゃんの顔の近くに瀬戸さんの顔が闇の中にうすぼんやり浮かんでいた。そのように記憶している。たぶん目立たなくなるよう画像処理しているのだろうけど、その薄さがもはや逆に目立っていた。闇の中に浮かぶあきら。ぼんやり浮かぶあきら。あきらの方に目が行く。もう、あきらしか見えない。
私は何を買ったのだったか。
キキちゃんとちなつさんの写真に決まっている。
もはや「先輩と宝塚」ではなく「宝塚と私」みたいになってしまった。
先輩のキャトルデビューに付き合った話で最後にしようと思ったが、先日、先輩と二人で月組を見に行ったのでその話もしたい、と思ったがもう書くのに疲れたのでいつかの次回。1週間後か1か月後か半年後か…