宝塚と先輩①
新型コロナのせいで劇場で宝塚を見られない日々が続き、夏頃ようやく再開。
コロナ前、最後に見た公演は何だったか。
そうだ。ちなつさんの出島だった。池袋でギリギリ見たのだ。
持っていたチケットが全部返金となり、もちろん宝塚以外の舞台もあったけれど、返金合計額を見て我ながら、、、、、、、、、引いた。
チケットにこんなに金をつぎ込んでいたのか、と。
とにかく引いた。
そして、なんか知らんが我に返った。
1公演1回見られればよい。
そう思うようになった。
たぶん、それが普通なのだろう。
今のところ主に友の会でしかチケット取れないみたいだし。
以前みたいに躍起になっていろいろなところでチケット取らなくてもいいような気がした。
たった1枚、自分が見る分だけあればいいと思っていた。
私はコミュ障で人見知りだし、あまりオタクで群れたくないタイプの人間なので、基本的に宝塚は一人観劇だ。
たまにヅカオタではない友達と見に行くことはある。
しかし宝塚ファンを公言している人と行ったことはないし、幸か不幸か周囲にそういった人種を発見したことはない。そもそも探そうと思ったこともない。
【幸か不幸か】というのは、同じものを好きな人とその好きなものを見に行くのはきっと楽しいのだろうが、めんどくさいと思うこともそれなりにあるにちがいないからだ。
具体的にどういうことがあるのかと問われてもうまく答えられないが、きっと何かにハマっていて仲間がいるオタクはこの気持ちを少しはわかってくれるのではないだろうか?
とにかく私は基本的に一人観劇で、能動的に仲間を増やそうと思ったことはない。
そんな私だが、ある時ちょっとした気まぐれを起こした。
昨年末、池袋で上演された星組の『ロックオペラモーツァルト』。
どうやらこれをうちの部署の先輩2人(両方とも女性)が見に行ったらしいのだ。
その2人のうち1人をXさんとしよう。Xさんは以前、私が所属するグループについていた上司の一人だった。だから多少は話をしたことがある。もちろん仕事関係のことだけに限る。
あくまで彼女は仕事上の関係の人だ。仲が良いわけではない。プライベートの話などしたことはない。さほど彼女に興味はない。
しかし「宝塚を見に行った」と聞いたからには、黙ってはいられない。
俄然興味を引いた。
年末のとある日、唐突に聞いてみた。
すると彼女は目を輝かせて「なんで知ってるの?」と食いついてきた。
想像以上に目がきらきらしていた。
聞いてみると、ロクモはもう一人の先輩が豊島区民で、貸切で取ったらしい。しかも前から1桁列のセンターブロックだった、と。
まぁそんなところで宝塚を見たら、ハマるかもしらんなぁ。
などと思いながら「私もよく宝塚見に行くんですよー」から始まり、ちょこっと宝塚トークをした。
Xさんは一度、劇場のあの大階段を見てみたいと言う。
オタク心に火がついた。
1公演1回見られればよい、なんて思ってしまったくらいのごくごく一般的な軽いファンに成り下がろうとしていたくせに(別にコロナ前も濃いファンなどではなかった…)、「オタク」という言葉を使ってしまってはゴリゴリのヅカオタの猛者たちに叱責されそうであるが、とにかくヅカオタのはしくれのはしくれのはじかみみたいな私の心にも、火がついたのである。
ようし、あの宝塚の大階段を見せてやろうじゃないか!
あたいが見せてやるからな!!
待ってろよ!!!
いや。
大したことではない。
別にそんなに大したことではないよ、私。
落ち着いて?
ただ単にチケットを取ってあげさえすればよいのである。
今まで何度もやってきたではないか。
別にヅカオタではない友達の分のチケットも取ってきた。
あの時も「あたいがチケット取ってやるからな!!」と思っていた。
これがオタク心である。
なんかんだ今まで友達の分のチケットも取れてたし、大丈夫っしょ。
そんなふうに軽く考えていた。
すぐにわいが見せちゃるからな、と安易に考えていた。
(鬼の形相で目を血走らせあらゆるチケット会社の先行をチェックし、先着やら一般も時計と睨めっこしてヒイヒイ言いながら挑んでいたことなんてとっくに忘れているのである)
…が、
…のに、
…にもかかわらず、
コロナですよ。
コロナのせいで舞台が見られなくなり、チケット取ったる!!という私の情熱は雲散霧消せざるを得なくなるのです。
やがて時が経つ。
宝塚が再開することとなり、私はこの情熱を思い出した。
星組の友の会抽選が始まるのを機に、私も先輩に宝塚の話を再開しようと思った。
しかしチケットは友の会でしか取れなくなっていた。しかもチケットを1枚ずつしか申し込めないことになっていた。
だから一緒に申し込むことができない。
悩。
これは、どうしたものか。
悩。
ま、とりあえずこんな感じのシステムで公演再開になりましたーの報告だけしておこ。
「再開するんですけど、今のところ友の会でしかチケットが取れないんですよ~」
「じゃあ入る」
あっさり。
給湯室での立ち話であっさり。
え、え?
はえー!
はえーよ?
友の会に入るって決めるの早くない?
まだ1回しか見てないよ?
たまたま見た1回だけよ?
え、え、普通そんなもん?
まぁ、普通のファンクラブ的なものに比べたら年会費だいぶ安いけど。
入りやすいっちゃあ、入りやすいけど。
口だけでなく、本当にその直後に入会していました。
行動がとても早かったです。
考えてみれば私も友の会に入ったのはたまたま『幕末太陽傳』を見て「宝塚いいかもー」となり、『神々の土地』で「宝塚っておもしろい!真風と目が合った!」となり、劇場で見かけた『ポーの一族』のポスターを見て「これ、絶対行きたい! てか行く! 死んでも行く!!」と決めて友の会に入った記憶がある。
ポーは当たらんかった。そもそも申し込めたのかも覚えてない。
まー、どうしても見たいと思ったら入るかー。
でも、なんだろうなぁ。
Xさんは宝塚にハマったのではなく、ハマりたい願望があるだけなのかもしれない。
などとそこはかとなく感じていた。
結局入会したものの星組の抽選には間に合わなかったので、私が申し込んで当たったら、同じ日のチケットを先着か一般で取ることにしました。
しかし…
先輩と日程を合わせて申し込んだ土日は全落し、なんとなく勝手に申し込んだ平日のたった1日が、当選!
うん。
人生なんてそんなもんよね。
知ってる。
そして悩む。
このことを言うべきか言わざるべきか…
なぜ自分だけ当たっとんねん!
合わせた日程じゃないところをなんで申し込んどんねん!
て思われたらどうしよう。
やべー。
悩んだあげく、後々いろいろめんどくさいから言いました。
もしその平日に先輩が休めるのなら先着か一般で1枚増やせばいいだけの話だし。
しかしその日は先輩は休めないらしくやはり無理とのこと。
そしてそのあとの先輩の一言。
「平日なら当たる可能性があるってことだね!」
ポジティブ!
ポジティブでよかった!
先輩がポジティブでよかったよ!
よかたね私!
こうなると一緒に見に行くには先着と一般で1枚ずつ取らないといかん。
あくまでも私と見に行くことを前提としてるから、1枚どこか取って「はいどうぞ」というわけにもいかん。声をかけた者の礼儀としても一緒に行くべきである。
もろもろ説明し「どうしましょう?」と尋ねる。
私にいろいろやってもらうのが申し訳なく思ったのか先輩は「次の別の公演にチャレンジするね。平日の方が当たるかもしれないから次は平日も候補に入れよう」とのこと。
なんだか申し訳なくなったので、私はひそかに先着にチャレンジしてとある土曜のS席をカートに入れました。でも次の公演にチャレンジすると言っていたし、余計なお世話になったら悪いかなと思ってカートに入ったチケットは放出しました。
ところが私が放出したチケットの公演日は、幸か不幸かコロナで一時中止となってしまった日程だったのです。結果的にはよかった、の、かな…?
そんなわけで、次の『はいからさん』にチャレンジです。
今度は平日一択。とある1日だけ1点買いです。
私も他の日程をこっそり入れるなんてことは決してせぬと誓う。
会社が劇場に近いので18時半の公演にロックオン。
そして当落発表の日。
私、当たっていました!
10時過ぎにLINEが来ました。
当選しました!
おお当たったのか。よかったよかった。一緒に行けますねぇ、一安心。
でも間違えて13時半の申し込んじゃったらしく…
ん?
へ?
え?
間違えてたー!
時間を間違えてたー!
そんな先輩が先日『はいからさん』を見に行ってきました。
もちろん私も同じ日の夜に行きました。
その後の話は別の機会に書こうと思います。
私に「やる気元気勇気」があれば書こうと思います。
もし書かなかったら、こっそりタイトルの①を消しておこうと思います。
何かにハマりかけの人はネットの情報を漁ります。
それはもう、隅々まで漁ります。
個人ブログなんかも見るでしょう。
そんなに更新度が高くない、ちょっとしたブログにすらたどりつく。
私が実際にそうだった。
いろんなブログを見まくった。
今の先輩はまさにその状態かもしれん。
このブログが先輩の目に触れぬことを祈るばかり。
許可なく書いてる。
万が一見ちゃった時は、会社でこっそり「見たよ」と教えてください。
怖ぇえ。
先にここで謝っておこう。
ネタにしてごめんなさい。
この記事が削除されていたら、「あぁ」と察してください。
こんなブログ誰も見てないと思うからそこまで心配しなくてもよいよ私。